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自由と民主主義

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民衆のマグマに押されたエジプトの軍事クーデター直後に書かれた、シャーマイン・ナル ワーニ氏(オックスフォード大学・アントニィ・カレッジの中東研究者)の一文を、拙訳ですが紹介させていただきます。 女性の視点から、アラブ民衆のエネルギーの核にある「道義と尊厳」に着目し、これに対する「軍事化」でコントロールする欺瞞的な米国型「自由と民主主義」は「中東から出て行ってください」と訴えています。私は、沖縄と日本 からも出て行ってほしいと思います。 (なお、米国はエジプトへの軍事援助、武器供与継続のために(要するに紐付きのために)、さかんに「軍事クーデターではなかった」と言い張っていますが。) ※【訳注】:著者は、「Freedom and democracy(自由と民主主義)」に対し て、「Honor and dignity(名誉と尊厳)」を対峙させています。ここでは、Honorを「道義」と訳してみました。 ●出典:Intifada-Palestine: Posted: 06 Jul 2013 01:05 http://feedproxy.google.com/~r/intifada-palestine/yTiY/~3/ktEeNKPM5NM/?utm_source=feedburner&utm_medium=email FreedumbAndDemocrazy 自由と民主主義様 シャーマイン・ナルワーニ(松元保昭訳) 2013年7月6日 自由と民主主義。私はどういうわけ か、この言葉が嫌いになりました。二つのとても高尚な言葉が結び付けられ、―あらゆる諸国民を骨抜きにする言葉の手りゅう弾となって―帝 国の小間使いたちにまき散らされてきました。「自由と民主主義」と聞くと、私は本能的に逃げ出したくなります―いま戦場で次々にアラブ人 とムスリムたちが撃たれているとき、彼らが精いっぱい「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫ぶように。 「自由と民主主義」は闘争であり、私の記憶にある西側の体制転換という作戦のひとつひとつで人は泣き叫んでいます。無垢な民間人を死なせ、街を破壊させる作戦のその跡は、犯 罪と堕落、無政府状態です。 私たちのボキャブラリーにすっかり定着したこの言葉は、中東においては危険な言葉です。にせの革命に夢中になった人々は、以前私たちに「自由」という爆弾を落としたアメリカ 人のように、いま、自分の正義を確信し狂った目で金切り声をあげて、この愚かな外来の慣用語をまくしたてています。 しかし、アラブ人とムスリムは、最近の記憶を深く掘り起こすべきです。: 米国に支持されたあなた方の独裁者に対して立ち上がったとき、あなた方に最初に発っせられた言葉は、「自由と民主主義」ではなく「道義と尊厳」でした。引きつづく混乱のなかで、この事実はどのように道に迷ってしまったのでしょう? さらに、いったいこの区別によってどんな違いが生まれているのでしょう? ひとつには、「自由と民主主義」は、 中東になじみの薄い社会的自由と統治の西側スタイルの基準を、常に提示してきました。私たちは今のところその段階にはないし―ともかくありえないし―また、たぶんそうならないでしょう。多くの地域国家は、明らかに頑迷な政治的進化のプロセスの中にまさに発生期 の姿が入り込んでいます。彼らの個性的な文化と歴史同様に、土着の独特な統治モデルを例外なく作りあげていて、それをそれぞれの国民が持っているからです。 もし、いくつかの町が彼らの政治プロセスを時代遅れの闘鶏で決めたとしたら、どうでしょう?民族国家の分裂、あるいは少数民族の反乱、または宗派間の殺戮を防ぐために、たった一人の有力者がいることが唯一の方法であるとしたら、どうでしょう?あるいは、まずは子どもを養い仕事を見つける―ことを想像して―そうしたいと思うゲイとレズビアンの権利を、人々が心からまったく気にかけないとしたら、どうでしょう?女性の選挙権?ジェンダー融和の サッカースタジアム?職場内保育?労働者の権利?大事な才能…でも…まず、食べ物、子ども。 つぎに、もう一方に不幸な結びつきが あります。自由と民主主義は、兵器というごほうび、軍事基地、米国製無人機でいっぱいの空から浴びせられる爆弾をいっしょにもたらしま す。さらに財政援助がすべての愚かさのニュアンスと結びついています。 自由と民主主義は、非常に明敏です。 要するに、それは友好的な独裁政権を無視するようです。それは、帝国(一般市民を含む)と対立する人々の指導者たちの上に不可解な正確さで、結局は打撃を与えます。 そしてそれは、たとえば選挙はすべて 重要という前提条件で、外国に押し付ける基本理念なのです。帝国がそれを信じないということを除いてですが。例えば、ハマスの勝利を結果 したパレスチナの選挙、立候補者が都合が悪いというイランの選挙、あるいは不正の「音がする」というロシアの議会選挙などを、なぜ別にして退けるのでしょう? でも、友好国の専制君主が息子に権力 を手渡すとき、庇護国が民衆の合法性を配慮しないとき、米国製兵器の巨額の予算が関係する軍事同盟国が公然と選挙を拒否するとき、帝国の 沈黙は聞こえない防音装置になっているのです。 道義と尊厳は、そのようなもののひとつもありません。それは選挙を意味しません。個人の権利を意味しません。それは 非利己的で寛大です。―それは、正義が何であるか、重要さが何であるか、優先されるべきものが何であるかを理解しています。それは、成果 を、復元力を、広まる興奮を、辛抱強く待つことでしょう。でも、即時に訂正すべきものはきっぱりと要求します。国家は民衆の意思に従って評定し行動しなければならないのです。 この違いが何か、もっと言ってみましょうか? 自由と民主主義は、米国=イスラエルの覇権とGCC(ペルシャ湾岸協力会議)のオイルダラーを喜んで迎えます。道義と尊厳は、そうではありま せん。 自由と民主主義は、パレスチナの土地 の植民地化を是正する「プロセス」があると考えます。道義と尊厳は、ただひとつのこと、脱植民地化があると知っています。 自由と民主主義は、中東における、周縁に追いやられた非合法な諸集団、諸宗派、諸民族を中傷し貶めることを捜し求めています。道義と尊厳は、違いからくるいろんな特徴をもつ 人々の中でさえ、調和的な関係と協力を捜し出します。 自由と民主主義は、軍事化によって統 治されます。―それは軍事基地を捜し、その同盟諸国を武装化し、レッドラインを引き、脅迫し、不均衡な報復をし、安易に懲罰し、攻撃しや すい弱者をターゲットにします。道義と尊厳は、同胞による関与と仲裁といったソフトパワーに信頼します。 自由と民主主義は、常に、独裁権力と残虐行為を支援してきました。道義と尊厳は、それを止めさせたいのです。 自由と民主主義は、外国のアドバイザーとNGOの援助による政治的な、社会的な、経済的な諸計画を実行させるお返しに、トラック一台分の現金をあなたに与えます。道義と尊 厳は、自分たちの間違いから学ぶことを固く決 心しています。 自由と民主主義は、あなた方のために 何がベストか知っています。道義と尊厳は、自から決定することを望んでいるのです。 自由と民主主義は、まだ「準備していない」と考えるあなた方の自立を恐れています。道義と尊厳は、それを味見し、それを舐めてみ、それを抱きしめ、それをやってみるという、 欲することを我慢しません。 自由と民主主義は、銃を突きつけ、あなた方の境界を侵犯します。道義と尊厳は、それは人を撃ち殺してしまい人はそこから学びはしない、ということを知っています。 自由と民主主義は、もちろん自由で民 主的であると考えます。しかし道義と尊厳は、何よりも興味ある動向に注目します。自由と民主主義は、「自由と民主主義」についておしゃべ りするほど、さらに自由を法規制し、裏で民主主義を実らせないのです。 中東における実際の「自由」は、道義 と尊厳を意味します。中東における実際の 「民主主義」は、道義と尊厳で始まります。ア ラブ人が、今回初めてそれに注目させました。 道義と尊厳は、きのうとまったく同じ地政学的経済学的なパラメーターで操作される選挙や政権を意味しません。道義と尊厳は、それぞれの地域に独自な土着の解決策―合意(コンセンサス)に基づく法の支配の下に あって公正な社会で信頼できる統治を意味します。 エジプト、チュニジア、リビア、そしてイエメンの新しい政権は、可能性はありません。―彼らは、西側の覇権を、地域の問題ではGCCの統制を承認します。さらに経済的な格差 という古いパラメーターのなかで操作します。彼らは、イスラエルと共に演じてパレスチナなど存在しないと偽っています。彼らは、かつてこ の地域がもっていた最良のレジスタンスに対する攻撃と麻痺の間で揺れ動いています。彼らは、同胞愛の思想をねじ曲げ、きのうの分割支配で うまくやっています。そして彼らは、明日の権力支配の続行を確実にするため、今日のシステムを不正に操作しているのです。 あなた方は、従属する経済のために道 義と尊厳をもつことができません。―それは、あなた方の自立を妨げるでしょう。あなた方は、あなた方の国に外国の軍事基地があるため道義 と尊厳をもつことができません。―それは、自立するあなた方の手足を縛るでしょう。あなた方の真ん中にある植民地国家が、あなた方の無能に向かってべらべらしゃべり、刑罰を受けないためにアラブ人を殺し、地域の和解に向けたすべての努力を破壊しているため、あなた方は道義 と尊厳をもつことができません。―それは、あなた方の独立を破壊するでしょう。 自由と民主主義様、どうぞ私たちに任せておいてください。そうでないと、むしろそうしないと、道義と尊厳は成り行きの効果をあなたの尺度で教えることを強要されることになる でしょうから。 自から間違いをするために、自からの 強さを発見するために、自からの進路を切り拓くために、あなたは中東から出て行ってください。今すぐそうしてください。 そして、条件付きの援助と軍事基地も あなたといっしょに持って行ってください。 (以上、翻訳終り) 〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/ 〔opinion4636:131108〕

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